CFJの遅延損害金の主張
CFJに対して過払い金の裁判を起こした件で、特に論点がない裁判でしたが、裁判の引き伸ばしを謀るためでしょうか、3回目の期日ぐらいでCFJが「支払期限を渡過した日数分は遅延損害金利率で計算しなければならない」という主張をしてきました。
支払期限に数日遅れた部分だけ、年18%ではなく年26.28%で計算しなければならないという主張でしたが、数日遅れたことが数回あった程度なので、過払い金の額にしても数千円ぐらいしか変わりません。
ただ、CFJの主張をそのまま認める訳にもいかないので、CFJが書証として提出した契約書等を見て検討してみました。
基本契約書としてCFJは、「極度額借入契約書兼カード受領書」という書面を出していました。
この書面の裏面第9条を見ると「会員は、当社に対し、表面⑨記載の返済期日において、当該返済期日における表面⑩及び同一の契約書の一部とみなされる利用明細書記載の返済額を返済しなければなりません。」と記載されています。
そこで表面の⑩の欄を見ると、「元利定額リボルビング方式」「元利定額リボルビング方式とは,利息を含む一定額を毎月返済する方式です。この返済方式は毎月の返済額によって,支払回数および返済期間が決定される支払方式です。元利定額リボルビング方式について,より詳しくお知りになりたい方は,[0120-019-2155]までお問い合わせください。」としか記載されていません。
このように表面⑩には具体的な返済額の記載がありませんから、「同一の契約書の一部とみなされる利用明細書」なる書面の提出がない限り、返済期日における返済額が分かりません。
返済額が分からなければ、返済額がゼロ円という可能性も否定できなくはないので、全く払わなくても履行遅滞に陥ることにはなりません。
今回の取引は、そのほとんどをコンビニなどに置いてある提携ATMで行っていました。
CFJの所持するATMでのATMジャーナルは数枚ほど書証として提出してきたのですが、提携ATMでの17条書面・18条書面交付の具体的な立証はしてきませんでした。
実際の所は分からないのですが、提携ATMでは複写式のATMジャーナルは作成されないのかもしれません(もしくは提携会社にATMジャーナルを提出してもらうのに手間がかかるためかも)。
なお、提出された数枚のATMジャーナルは、CFJが期限の利益を喪失したと主張する取引とは関係のない時期の物であったため、期限の利益を喪失したときの返済額は直接的には分からないものでした。
以上から、要約すると、「同一の契約書の一部とみなされる利用明細書」の提出がなく、返済額が分からないから、履行遅滞に陥らないという主張をしました。
その結果、裁判所は、「被告が証拠として提出した『ご利用明細書』は、いずれも、原告が期限の利益を喪失することとなった日の支払金額を予め通知したものではなく、また返済金の一部を遅延損害金に充当した事実を記載したものでもないから、遅延損害金徴収の事実及びそのような記載のある『ご利用明細書』を交付したことの証拠とはならない。そうすると、遅延損害金発生についての被告の主張を認めることはできない。」と判断し、全ての利率を年18%で計算すると言う主張を認めました。