過払い金に関する最高裁判決


最高裁判決

  • 平成15年07月18日最高裁判所第二小法廷 判決
    同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付が繰り返される金銭消費貸借取引についての判決。
    借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を支払ったことによって生じた過払金は、弁済当時存在する他の借入金債務への充当されると判示。

    その他、信用保証会社の受ける保証料及び事務手数料が貸金業者の受ける利息制限法3条所定のみなし利息に当たるとされた。

  •  平成17年12月15日  最高裁判所第一小法廷 判決
    貸金業者は、リボルビング方式の貸付をしたときには、各貸付ごとに17書面に、「返済期間及び返済回数」及び各回の「返済金額」として、当該貸付を含めたその時点での全貸付の残元利金について、毎月定められた返済期日に最低返済額及び経過利息を返済する場合の返済期間、返済回数及び各回の返済金額を記載すべきと判示。

    これらの記載を欠く17条書面を交付していても、みなし弁済は適用されないことが明確になった。

  •  平成18年01月13日  最高裁判所第二小法廷 判決
    利息制限法所定の制限を超える約定利息の契約において、債務者が、元本又は約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約がある事案の判例。特段の事情のない限り、制限超過部分の支払は、「債務者が利息として任意に支払った」ものということはできないと判示。

    約定利息を支払を遅滞すると期限の利益を喪失する旨のある契約では、特段の事情がない限り、みなし弁済の適用がないことが明確となった。

  •  平成19年02月13日  最高裁判所第三小法廷 判決
    基本契約が締結されていない場合において、第1の貸付を弁済した結果、過払金が発生した。その後、第2の貸付が行われた。第1の貸付の過払い金が第2の貸付の借入金債務に充当されるかが争われた事案。

    基本契約が締結されているのと同様の貸付が繰り返されており、第1の貸付の際にも第2の貸付が想定されていたとか、第1貸付の過払金の充当に関する特約が存在するなどの特段の事情のない限り、第1貸付の過払金は、第2の貸付に係る債務には充当されないと判示。

  •  平成19年06月07日  最高裁判所第一小法廷 判決
     カードを利用して継続的に取引をする基本契約が締結されている事案。
    弁済により過払金が発生した場合には、弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金を、その後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。

    オリエントコーポレーションが当事者であった事案。

  •  平成19年07月13日  最高裁判所第二小法廷 判決  平成18(受)276
    預金口座への払込を受けた際に18書面を債務者に交付していなかった事案。貸金業者が、判例の正しい理解に反して、事前に債務者に償還表を交付していれば上記書面を交付しなくても同項の適用があるとの認識を有していたとしても、民法704条の「悪意の受益者」であるとする推定を覆す特段の事情があるとはいえないと判示。
  •  平成19年07月13日  最高裁判所第二小法廷 判決  平成17(受)1970
    各回の返済金額について別紙償還表記載のとおりとの記載のある借用証書の写しが借主に交付された場合において、償還表の交付がなければ17書面の交付があったとはいえないとされた事例。
  •  平成19年07月19日  最高裁判所第一小法廷 判決
    基本契約を締結せずに切替え及び貸増しとしてされた多数回の貸付に係る金銭消費貸借契約が、弁済により発生した過払金を、その後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものと解された事例。

    エイワが当事者の事案。

  •  平成20年01月18日  最高裁判所第二小法廷 判決
    第1の基本契約に基づく過払金を、その後に締結された第2の基本契約に基づく借入金債務に充当することの可否が争われた事案。

    第1の基本契約に基づく貸付及び弁済が行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間、第1の基本契約についての契約書の返還の有無、借入等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無、第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況、第2の基本契約が締結されるに至る経緯、第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して判断すべきと判示。

    最高裁判決以降、下級審では、基本契約が異なった取引について分断が争われると、上記の項目を検討して過払い金の充当を判断するようになった。

  •  平成20年06月10日  最高裁判所第三小法廷 判決
    ヤミ金が、年利数百%~数千%の著しく高利の貸付を行っていた事案。ヤミ金は、借主から受け取った額を損害賠償として支払うに際して、貸し付けた金額を控除できないと判示。
  •  最高裁判所第一小法廷  平成21年01月22日 判決
    過払い金の消滅時効は、特段の事情がない限り、取引が終了したときから進行するとした判決。
  •  平成21年07月14日  最高裁判所第三小法廷 判決
    期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を初めて否定した最高裁平成18年1月13日第二小法廷判決の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について、貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者を民法704条の「悪意の受益者」と推定することはできないとした判決。貸金業法43条の適用について、その他の要件の充足の有無を検討して「悪意の受益者」か否かを判断すべきとしている。
  •  平成21年09月04日  最高裁判所第二小法廷 判決 平成21(受)1192
    継続的な金銭消費貸借の基本契約に基づく取引においても、悪意の受益者である貸主は、過払い金発生の時から民法704条前段所定の利息を支払わなければならないとした判決。
  •  平成21年09月04日  最高裁判所第二小法廷 判決 平成21(受)47

    貸金業者が借主に対し貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為が不法行為を構成するのは、暴行・脅迫があったときや、貸金業者が当該貸金債権が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながら、又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのに、あえてその請求をしたなど、その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られ、この理は、当該貸金業者が過払金の受領につき民法704条所定の悪意の受益者であると推定されるときであっても異ならない。
    不当利得返還請求権の消滅時効は10年なのに対し、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は20年であるので、不法行為による損害賠償請求をした事案。通常の事案では、不法行為として消滅時効を20年にするのは困難となった。
  •  平成21年09月11日  最高裁判所第二小法廷 判決 平成21(受)138
     平成21年09月11日  最高裁判所第二小法廷 判決  平成19(受)1128

    返済を怠り、借主が期限の利益を喪失した後、返済を行っていた事案。期限の利益を喪失して、遅延損害金利率で請求できるかが争われた。

    貸金業者の対応などにより、借主が、期限の利益を喪失していないと誤信し、貸金業者も、その誤信を知りながらこれを解くことなく、長期間、借主が経過利息と誤信して支払った金員等を受領し続けた平成21年(受)138では、期限の利益を喪失したとの主張は信義則に反し、許されないとされた。

    返済を怠った後、貸金業者が一括弁済を求めなかったことと、利息と遅延損害金の利率が近似していたことを理由とする平成19年(受)1128では、期限の利益の喪失が認められてしまった。

  •  平成21年12月04日  最高裁判所第二小法廷 判決

    ライフの事案。
     更生会社であった貸金業者において、届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することが、信義則に反せず、権利の濫用にも当たらないとされた。

  •  平成22年04月20日 平成22年04月20日 判決

    リボルビング取引の場合の利息制限法1条1項にいう「元本」の額は、借入残高全体を言う。

    同様の取引において、弁済して、利息制限法1条1項所定の各区分における下限額を下回っても、適用される制限利率は変更されない。50万円を借りていると年利は18%である。弁済していき、残債務額が10万円未満となっても、年利は18%のままであり、20%に変更とはならない。

  •  平成23年03月01日  最高裁判所第三小法廷 判決
    民事再生手続をしたクレディアの事案。届け出のない再生債権の支払時期について判示。
  •  平成23年03月22日  最高裁判所第三小法廷 判決
    タイヘイからCFJへの債権譲渡の事案。
     貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において、上記債権を譲渡した業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは、上記合意の内容いかんにより、それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に当然に移転すると解することはできない。
  •  平成23年07月08日  最高裁判所第二小法廷 判決
    マルフクからCFJへの債権譲渡の事案。
  •  平成23年07月14日  最高裁判所第一小法廷 判決
    取引の分断が争われた事案。基本契約の自動更新の条項があっても、取引の中断期間の長さを考慮せずに、1個の連続した取引であると認定することはできないと判示。
  •  平成23年09月30日  最高裁判所第二小法廷 判決
    タンポート(クオークローン、クラヴィス)からプロミスに切替契約をした事案。タンポートの過払い金返還債務をプロミスが引き継ぐと判示。
  •  平成23年12月01日  最高裁判所第一小法廷 判決(アコム)
     平成23年12月01日  最高裁判所第一小法廷 判決(CFJ)

    リボルビング方式の貸付けについて、17条書面として交付する書面に、返済期間、返済金額等の記載をしない場合、当該貸金業者は、最高裁平成17年12月15日第一小法廷判決の言渡し日以前であっても、貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有することについてやむを得ないといえる特段の事情があるとはいえず、過払金の取得につき民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。

  •  平成24年02月06日  最高裁判所第三小法廷 判決
     法務大臣の許可を受けないで、消費者金融会社から、通常の状態では満足を得るのが困難な貸付債権を譲り受け、同債権に関し、取立てのための請求をし、弁済を受けるなどしてその管理回収業を営んだ行為により、有罪となった事案。

  •  平成24年06月29日  最高裁判所第二小法廷 判決
    タンポート(クオークローン、クラヴィス)からプロミスに債権譲渡をした事案。タンポートの過払い金返還債務をプロミスが引き継がない判示。
  •  平成24年09月11日  最高裁判所第三小法廷 判決
    第1取引は無担保のリボルビング契約で、第2取引は不動産担保で一回貸付たら返済だけを行う取引であった事案。第1取引の過払い金を、第2取引の借入金債務に充当させることを否定。
    ただし、第2取引が不動産担保でリボルビング契約であった場合については、この判決の射程外だと思われる。
  •  平成25年02月28日  最高裁判所第一小法廷 判決
    1 既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには,受働債権につき,期限の利益を放棄することができるというだけではなく,期限の利益の放棄又は喪失等により,その弁済期が現実に到来していることを要する。

    2 時効によって消滅した債権を自働債権とする相殺をするためには,消滅時効が援用された自働債権は,その消滅時効期間が経過する以前に受働債権と相殺適状にあったことを要する。

  • 平成25年04月11日 最高裁判所第一小法廷 判決
    過払い金の利息部分を先に、新たな借入金債務に充当するとした判決
  • 平成25年07月18日  最高裁判所第一小法廷 判決
    継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合において,過払金が発生している時点で新たな借入れをしたときには,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項にいう「元本」の額は,新たな借入金に上記過払金を充当した後の額をいう。

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